2020.10.15

韓国のDX事情

文:SIOS Kobayashi

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はじめまして。DX Product & Integration チームでデジタルアーツ製品のマーケティング担当をしている朴です。サイオステクノロジーを挙げて取り組んでいるDX事業ですが、ふとお隣の国、韓国でDXに関してどのような動きがあるのか気になり、調べてみましたので皆さんに紹介させていただきたいと思います。

アフターコロナのテレワーク状況

全世界で猛威を振るっている新型コロナウィルスですが、韓国も例外ではなく、大きな被害を受けています。

感染が多く発生した2020年2月中旬頃からテレワーク導入の動きが活発になり、財閥大手企業のSKグループは真っ先にテレワークを導入し、1ヶ月ほど実施しました。
その後、全社員にテレワークに関するアンケート調査を実施したところ、社員の63%がテレワークを前向きに評価したといいます。

こうしたSKグループの動きから始まり、2020年9月24日に韓国雇用労働部(部は日本の省に相当)が発表したテレワークの活用実態に関する調査結果によると、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年7月時点で韓国企業の48.8%がテレワークを導入していることが分かりました。

2019年末時点で3%に過ぎなかったテレワーク導入率を飛躍的に伸ばしています。

※2020年8月から一部の従業員を対象にリモートワークのトライアルを始めたサムスン

パーソル総合研究所の調査結果によると、日本では正社員のテレワーク導入率が2020年3月の13.2%から、緊急事態宣言を発令した4月以降は27.9%へ伸ばしたということですが、韓国とは大きな開きがあります。

韓国はメンバーシップ型雇用の会社がほとんどで、労働者の会社への帰属意識も比較的強い点、労働文化が日本とよく似ています。

では何故テレワーク導入率にここまで大きな差が開いたのでしょうか。

これはあくまで私の主観ですが、韓国企業は社員を大事にしない企業というイメージを持たれるのを恐れている傾向があり、ネット経由の勤怠管理、日程や業務内容の共有、ファイル共有、メッセンジャー、テレビ会議、セキュリティー対策などのシステムが整っている会社が多かったため、テレワークを始めるのに大きな問題がなかったのではないかと考えています。

「韓国版ニューディール」構想

2020年7月14日 韓国の文在寅大統領は新型コロナウイルスで打撃を受けた経済を回復させるため「韓国版ニューディール」政策を発表しました。
その中のデジタルニューディールで、2025までに約5兆3000億円を投資し、90万3000人の雇用創出を目指すとしています。

※韓国政府主催 韓国版ニューディール報告大会の様子(聯合ニュース)

デジタルニューディールの代表課題は下記5つとなっています。
1、データダム事業

  • 精密な道路地図、施設建築物の管理情報などの公共データを民間が活用できるようにする

2、知能型政府事業

  • ブロックチェーンに基づいたモバイル身分証を導入する
  • 公共部門の有線ネットワークは5G無線ネットワークに転換する
  • 既存の個別の情報システムを25年までに民間・公共クラウドセンターにシフトさせ、サイバー脅威への対応力を高める

3、スマート医療インフラ

  • 5Gネットワークやモノのインターネット(IOT)などのデジタル技術を基盤とするスマート病院を25年までに計18カ所設ける

4、社会インフラのデジタル化

  • 全ての国道や地方の主な幹線道路に次世代の知能型交通システムを構築し、全ての鉄道にリアルタイムで状態を診断するためのIOTセンサーを設置する

5、デジタルツイン

  • 全国の主な地域と地下空間をデジタル空間に再現させ、国土の安全管理を強化するとともに新産業を支援する

こうした韓国政府の動きにインターネットサービス大手のNAVER(ネイバー)、完成車大手の現代自動車と子会社の起亜自動車、通信大手のKTやSKテレコムなど、韓国を代表する企業が参加・投資を表明しています。

企業の動きの中で面白いのがNAVERです。NAVERは先ほど紹介した「1、データダム事業」を後押しするため、この20年余り蓄積してきたデータを分析・加工して政府へ提供するといいます。

日本ではGoogleが検索エンジンシェアNo.1ですが、韓国では検索エンジンとしてNAVERが最も利用されています。そのような企業が協力するのですから政策の実現性は非常に高くなるのではないでしょうか。

文大統領の「韓国版ニューディールの成功に向け力を集めてほしい」という呼びかけに、既に民間の投資額(約1兆8000億円)と地方自治体の投資額(約2兆3000億円)が集まっています。

まとめ

ここまで韓国のDX事情を紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか。日本でもDX推進に向けて国や様々な企業が奔走していますが、他の国々の動向を調査することによって視野が広がり、新たな気づきを得られるかもしれません。

また機会があれば、韓国のDX事情の最新動向を紹介させていただきます。

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